【世界遺産】京都の構成資産を全部解説 ~建築編~

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1. はじめにー建築が特徴的な京都の世界遺産ー

京都の世界遺産(古都京都の文化財)は、17の構成資産により形成されています。京都市内を中心に、近隣の宇治市や滋賀県大津市にもその範囲は及びます。
ガイドナビでは、17の構成資産を3つのパートに分けて紹介します。京都の文化財が世界遺産に登録された理由の一つには、構成資産の建築物が日本の建築様式を代表するものであることが挙げられています。この記事は「建築編」として、建築物が主な見どころになっている6つの構成資産について紹介します。

2. 清水寺


伝承によれば778年に創建されました。780年には征夷大将軍として活躍した坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が自邸を本堂として寄付したと伝わっています。鞍馬寺や広隆寺とともに、平安京ができる前からこの地域に存在します。現在の建物の多くは、徳川家光の寄進により再建されたものです。清水寺の見どころとしては、本堂の舞台が挙げられます。古くから歌舞伎、能、雅楽などの芸能が奉納される場所ですが、建築の工法や舞台からの飛び降りについて旅行者に紹介しましょう。
清水の舞台は日本古来の伝統工法である「懸造り(かけづくり)」で作られています。木材を格子状に組み合わせることで、バランスを保っています。耐震性も高いのですが、実は釘が使われていないことが注目すべき点です。
また、「必死の覚悟で実行する」という意味で、「清水の舞台から飛び降りる」という言葉がありますが、実際に200人を超える人が実行したという記録も残っています。飛び降りて助かれば自分の願い事は叶う、もし亡くなったとしても極楽浄土に行けると言われていたため、多くの人が挑戦をしました。当時、舞台の下の地面が現在ほど固くなかったため、80%以上の人が生き延びたそうです。

3. 鹿苑寺(金閣寺)


金閣寺として有名なお寺です。室町幕府第3代将軍の足利義満が1397年に邸宅と庭園を譲り受けて改修し、義満の死後、1422年に禅寺となりました。金閣をはじめとした建築や境内の庭園によって、極楽浄土を表現しています。当時の華やかな北山文化を象徴する場所とも言えます。
最大の見どころは、黄金に輝く舎利殿です。建物を背景に記念撮影をするのはもちろん、舎利殿が建てられた時代背景、建築の特徴などについて解説しましょう。金閣寺は室町幕府の三代将軍、足利義満が自分の権力を示すために作られたと言われています。なかでも、金箔が張られた舎利殿は象徴的な存在です。1階が寝殿造、2階が武家造、3階は仏殿造という建築構造になっています。一説にはこの構造が権力の序列を示していると言われ、1階が貴族、2階が武士、3階が足利義満を表しているそうです。
このほか、境内には江戸時代の様式の茶室が残る夕佳亭(せっかてい)や願い事をするために硬貨をお椀に投げ入れる白蛇の塚などの見どころがあり、実際のツアーでは滞在時間に応じてそれぞれの紹介をしましょう。

4. 慈照寺(銀閣寺)


銀閣寺とも呼ばれるお寺です。わびさびを特色とする東山文化を代表する存在で、室町幕府第8代将軍の足利義政が1482年に造営を始めた別荘を、義政の死後、1490年に禅寺に改めたものです。国宝にも指定されている観音殿が見どころです。金閣と対比しながら、銀箔が貼られなかった背景を紹介するとよいでしょう。いずれも史実とは言えないですが、最初は銀箔を貼る予定であったものの、幕府の財政事情が悪化したために断念した説や、銀箔を貼る前に義政が他界してしまった説などがあります。話の流れで応仁の乱をはじめ、当時の幕府を取り巻く状況を伝えましょう。
また、東求堂は日本最古の書院造で、住宅建築遺構として国宝に指定されています。東求堂は現在の和風住宅に影響を与えていることや、金閣寺に象徴される華やかな北山文化と対照的な、シンプルな東山文化の特徴も解説もしてください。

5. 平等院


絶大な権力を誇った藤原頼通が、父・道長から譲り受けた別荘を1052年に寺院として改修したのが始まりです。豪華な建物が造られた歴史的背景について解説します。
平等院が整備された平安時代後期には、末法思想という仏教が廃れることで、世の中が悪くなる考え方が広がっていました。実際、天災・人災が続いたことから、人々の不安が深まり、悲観的になっていました。そのような時代背景から、当時の藤原氏は来世の幸せを願い、阿弥陀如来を本尊とする仏堂を造営しました。
また、阿弥陀堂は翼を広げた鳳凰のような姿であることから鳳凰堂とも呼ばれます。建物の全体像は10円玉に描かれていることで有名ですが、真ん中の建物(中堂)の屋根上にある金銅鳳凰(こんどうほうおう)は1万円札裏面のデザインとして採用されています。

6. 教王護国寺(東寺)


一般的に東寺と呼ばれる寺院です。平安京の唯一残る遺構とも言われています。遷都されて間もない796年に創建されました。後に空海に与えられてから現在に到るまで、宗派は真言宗です。
京都のシンボルともいわれている五重塔は、現存する木造の塔として日本最高の54.8mを誇ります。弘法大師が着工し、50年以上かかって完成しました。現在の塔は、徳川家光によって建てられたもので、5代目になります。
このほか、南北朝時代の1380年に再建された御影堂(ごえいどう)、平安時代の仏像が15体も残る、室町時代に再建された講堂、400年前に安土桃山時代の様式で建てられた金堂など、時代ごとの仏教建築を楽しめることも東寺の魅力です。

7. 二条城


二条城は関ヶ原の戦いの後、1603年に徳川家康によって築城されました。天皇の住む京都御所の守護と徳川将軍が京都に来たの際の宿泊所として役割がありました。

国宝にも指定されている二の丸御殿が代表的な建物です。東南から北西にかけて6棟が立ち並び、部屋数は33室、広さ800畳にも及びます。将軍の権威を表す虎や豹や、美しい四季折々の花を描いた障壁画(襖・ふすまや天井に描かれた絵)が見どころです。また、「鶯張り」(うぐいすばり)の廊下は、敵が忍び込んできたときに気付きやすい構造なのも特徴です。
また、最後の将軍・徳川慶喜によって大政奉還が行われたのも二条城です。城内では当時の様子に関する展示があるので、それを活用しながら歴史的背景を説明すると、旅行者に伝わりやすくなります。ただし、海外からの旅行者は日本の歴史をあまり知らないことが多いので、大政奉還の前後でどのように時代が変わったのかも丁寧に説明する必要があります。

8. おわりにー案内のポイントー

京都における世界遺産を構成するスポットでは、それぞれで完結した説明をするだけではなく、ツアー当日に訪れる他のスポットとの共通項を見つけてストーリー性を持たせながら案内すると、京都の街の魅力をより伝えることができます。
例えば、金閣寺と銀閣寺を同じツアーで訪問することがあれば、北山文化と東山文化の特徴を対比させたり、寺を造営した将軍の権力の強さなどを交えると、二つの寺の魅力や特徴を際立たせることができます。

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