【伝統工芸】日本の伝統工芸の概要と工芸品の種類について知ろう

ナレッジ

1. はじめにー伝統工芸とはー

切子日本には数多くの伝統工芸(経済産業大臣指定伝統的工芸品)があります。伊万里焼や西陣織、江戸切子など、伝統工芸の数々は長く日常生活の中で使用され、その歴史の中で洗練されながら今に姿を伝えています。

伝統工芸品の中には、デザイン性の高さと実用性から、土産物として人気のあるものも存在します。ツアーで訪れた地域の工芸品が、どのような歴史をたどり、どのような用途で用いられるかなどの質問を旅行者から受けることもあります。

この記事では、そのような時に備えて、日本の伝統工芸の全体像について解説しています。具体的には伝統工芸の定義や分類、ガイドする際のポイントに触れています。

伝統工芸の定義と取り巻く環境

伝統工芸は「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づき、経済産業大臣によって指定されるもので、以下の要件を満たしたものとなります。

  1. 主として日常生活の用に供されているもの
  2. 製造過程の主要部分が手工業的であるもの
  3. 伝統的技術または技法によって製造されるもの
  4. 伝統的に使用されてきた原材料を使用していること
  5. 一定の地域で産地が形成されていること

また、これらの要件に含まれる「伝統的」なものと認められるには、「100年以上の歴史を有し、現在も継続しているもの」という基準が設けられており、日常生活で用いられるだけでなく、歴史を有していることも重要な要素となっています。

伝統工芸の中にはユネスコ無形文化遺産に登録、保護されているものもあり、代表的なものとしては結城紬や美濃和紙が挙げられます。

2. 伝統工芸の分類

陶器現在、伝統工芸は日本全体で237品目が登録されています(2022年7月時点)。
ここではそれらの伝統工芸を分野ごとに解説します。

繊維製品

日本各地の気候や文化に合わせて様々な素材、技法で織られ、染められた繊維製品が、伝統工芸として多数登録されています。

織物の分野では、多彩な織り方と先染めによってシワになりにくい「西陣織(京都)」や、軽くて柔らかく、保温性に優れている「結城紬(茨城・栃木)」、木の繊維を使って織られ丈夫さと独特の風合いが特徴の「二風谷(にぶたに)アットゥシ(北海道)」など、日本全国で38品目が登録されています。

染織品の分野では、刺繍や金箔等を使用した豪華な「京友禅(京都)」や江戸時代、武士の袴に細かい柄を染めていたことをルーツにする「東京染小紋(東京)」など、13品目が登録されています。

陶磁器・漆器

陶磁器と漆器は、生活の中で用いられてきただけでなく、主に江戸時代に貿易品として海を渡り、海外の工芸品に影響を与えたものもあります。

陶磁器の分野では、キメが細かくなめらかで透明感のある白磁と、藍と赤の配色が特徴の「伊万里・有田焼(佐賀)」や、上絵付けの技法や鮮やかな色彩と大胆で優美な紋様が特徴の「九谷焼(石川)」、表面の素朴で温かな発色が特徴の「信楽焼(滋賀)」など、32品目が登録されています。

漆器の分野では、100を超える工程を経て造られ、光沢感と堅牢さが特徴の「輪島塗(石川)」や、漆本来の艶と気品溢れる金で描かれた鮮やかな文様が特徴の「秀衡塗(ひでひらぬり・岩手)」など、23品目が登録されています。

木工品・竹工品

国土の7割が森林である日本では、竹や木を材料に用いて身の回りの物を造る文化が発達しました。切る、組む、くり抜く、曲げる、締める等、多彩な技法を使って造られています。

主な工芸品としては、箱根山の豊富な樹種を活かし、緻密に組み立てられた幾何学模様が魅力の「箱根寄木細工(神奈川)」や、軽くて持ちやすく、秋田杉の木目の美しさが特徴の「大館まげわっぱ(秋田)」、一本の竹を幾重にも広げて造られ茶道具として欠かせない「高山茶筅(たかやまちゃせん・奈良)」など、32品目が登録されています。

金工品

金工品には戦国時代にルーツを持つものが多くあります。刀剣などの武器を鍛え整える中で発達した金工の技術は、やがて農具や山林用具造りにも活かされる中でさらに発展していきました。

主な工芸品としては、年月とともに風合いが増し、素朴で堅牢な美しさが特徴の「南部鉄器(岩手)」や、昔ながらの鍛冶の製法で幾重にも鍛えられている「播州三木刃物(兵庫)」など、16品目が登録されています。

仏壇・仏具

江戸時代に国民の大多数が仏教徒であった日本では、仏具が独自の発展をすることとなりました。特に仏壇は日本でのみ独自に発展した文化であり、海外では見られません。

主な工芸品としては、煌びやかな金箔の蒔絵と漆の艶やかな黒が特徴の「金沢仏壇(石川)」や、下級武士の内職をルーツに発展し、今や日本全国に販売されている「尾張仏具(愛知)」など、17品目が登録されています。

和紙・文具

4~5世紀に中国より紙や炭、筆が日本へ伝えられて以降、これらの筆記具は高級品でした。特に紙は平安時代から江戸時代まで贈答品としても用いられ、各地の製紙技術の発展へと繋がっていきました。

主な工芸品としては、日本に紙が渡来した頃から製造され、現代でも最高品質の和紙とされる「越前和紙(福井)」や、良質な獣毛を熟練の眼で見極めて製造される「熊野筆(広島)」など、19品目が登録されています。

代表的な伝統工芸を抜粋して紹介しましたが、これらの他にも石工品、人形やこけしなど、数多くの特徴的な工芸品が国指定の伝統工芸として登録されています。

3. ガイドのポイント

日本には数多くの魅力的な伝統工芸がありますが、そのほとんどは流通量が限られていることもあり、購入を希望する場合、品目によっては土産物店ではなく、産地を直接訪問する必要があるものもあります。

現地へ行けば、工場や工房の見学が出来る工芸品もあり、加えて、旅行者自身の手で製品を作る体験ができることもあります。

伝統工芸に興味を持った海外の旅行者には、購入して楽しんでもらうだけでなく、実際に体験してもらうのも、日本の魅力を伝える機会となるのではないでしょうか。

4. おわりにー関連する記事ー

この記事では伝統工芸の概観を紹介しました。ガイドナビでは、織物など具体的な伝統工芸品の歴史や魅力についても解説しているので、興味のある方はぜひそちらの記事も活用ください。

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