【コラム】英語 全国通訳案内士/会田淳一(いろいろガイドの輪)

エピソード

はじめまして。全国通訳案内士(英語)の会田淳一と申します。埼玉県出身で、1998年から屋久島に住んでガイドを続けています。私は自然の中を案内するのがメインで、対象は日本人ゲストと海外ゲスト半々くらいです。

ゲストと岩陰に隠れたカニを捕獲中

私は日本の自然の素晴らしさを屋久島を通して伝えたくてガイドになりました。ガイドになってから、全国通訳案内士という国家資格があることを知りましたが、流石にこの難易度は無理だろうと諦めていました。ある時、身近な知人がその資格を取った事で自分もやれば取得出来るかもしれないと小さな可能性を感じ、がむしゃらに頑張った結果2008年に資格を取得できました。その時は本当に嬉しかったのを今でも覚えています。

ガイド業を既にはじめていたので、ゲストの対象の枠を広げるだけでしたから、通訳案内士になってすごく大きく何かが変わったということはありませんでした。大きな違いはもちろん言語になるわけですが、それ以外にも気をつけるポイントや話の進め方などは意識的に変えています。

通訳案内士になって一番良かったなぁと感じることは、日本の小さな島に住みながら世界中の方たちと交われるということです。屋久島は当然島ですので、地理的・社会的に狭い世界に住むことになります。それが通訳案内士として活動することで、島に居ながらにして世界中の人たちと交流することができる!しかも、自然の中で話すことは自然のことだけではありません。自然は文化や人の暮らしにまで影響を与えているので、話は多方面に及ぶことが多いです。そして、そんな会話の中でお互いに違う価値観や考え方などに触れられることが何より嬉しいです。

私の場合、アウトドアという趣味と自然案内という仕事がかなり重なり合う部分が多いので、屋久島で暮らし、屋久島を楽しむこと自体が仕事に活かされる側面があります。なので、屋久島を楽しみ尽くすことが勉強とも言えるのです。モノは言いようですがね(笑)そんな暮らしや経験がジワジワと自分の中に染みこんできて、それをゲストの方にもシェアさせてもらっているという感じですね。全国を飛び回っている通訳案内士さんも多いので、そういった意味ではかなり地域に密着してコンパクトに活動しているのも特徴かもしれません。私の場合は、屋久島があってはじめて私が通訳案内士である意味があるという訳です。

ゲストとの思い出もたくさんあります。エストニアから来たゲスト達と川で突然下着1枚になって水浴びをすることになったこともありました(笑)サウナ文化を見せつけられては、温泉文化としては負ける訳にはいきません。年齢性別も混在していたグループだったのですが、こう言うときは勢い大事です(笑)一緒に川で登山の汗を流しました。誰も来ない場所で良かったです。さすがにその時の写真は出せませんので、平和な一時の1枚を♪
また別なゲストでは、通常は自社のサイトから申込を頂いているのですが、エージェントの方からご紹介頂くこともあります。時には、うちのスーパーVIPなのでくれぐれもよろしく的なことを言われます。私にしてみれば、どのゲストも同じなのであまりそういうプッシュは好きではありません(笑)

海外エージェントからそんな強烈なプッシュを受けてアメリカから迎えた女性ゲスト。2日間ご一緒させてもらったのですが、とても気さくで好奇心が強く、一緒に森を歩いていてとても気持ち良かったです。とても喜んでもらい、やはり余計なプッシュは要らなかったな…と改めて思いながらも期待に応えられてホッとしていました。
無事にツアーを終え、ゲストは翌日帰る予定でした。ところが、天気が大荒れで船も飛行機も欠航。延泊してその翌日の早朝の船で帰ることになったと聞きました。私はその日ちょうどツアーが無い日だったので、1人で心細いかなぁと思い朝6時頃に港へ急遽足を運びました。ゲストは私が来るとは思っていなかったので、とても驚きつつ喜んでくれました。船に乗るまでの時間、他愛も無い話をしていただけなのですが、会いに来てくれたことが本当に嬉しかったようです。そして、そんな話をエージェントの方にして頂いたみたいで、改めてお礼の言葉を頂きました。

何かすごいことをしたわけでもないのですが、「心細いかもしれないなぁ…」という想いがこういう行動に繋がったのは間違いありません。旅慣れている方でもあったので、何も問題無かったのかもしれませんがね(笑)そうであったらそれはそれで良いのです。大事なのは、自分が心配に思ったのだったら行動で終わらないと自分の中にモヤモヤが残りますからね。やり切るとお互いにとって幸せな形になれるなぁと改めて強く思わされた日となりました。

2023年度は海外からのゲストが大分戻って来はじめましたね。また多くの人に日本での素敵な経験と想い出を持って帰ってもらいたいですね!

私からのバトンは兵庫県の松田恵美さんに渡したいと思います。3日間の屋久島研修に参加の方です。ガイドの輪を広げさせてもらいました!
「いろいろガイドの輪」記事一覧

関連記事

特集記事

TOP