【神戸】知っておきたい阪神淡路大震災の被害と教訓

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はじめにー阪神淡路大震災の基礎知識ー

阪神淡路大震災は1995年に起きた地震災害で、神戸を中心に周辺の自治体にも大きな被害をもたらしました。近年では被災した地域を訪問する防災ツーリズム、ホープツーリズムなど、新しい旅のスタイルも注目されていることもあり、国内外の旅行者に対して、震災の教訓を伝えることが増えています。そのような時に知っておきたい知識について、以下の3つのテーマで解説します。

  • <テーマ1>日本における地震災害
  • <テーマ2>震災が神戸の街に残した傷跡
  • <テーマ3>震災の教訓を伝える場所

地震の規模

それぞれのテーマに入る前に阪神淡路大震災の全体像を紹介します。1995年1月17日5時46分、兵庫県淡路島北部沖の明石海峡を震源として、マグニチュード7.3の地震が発生しました。この地震によって7,000棟近い建物が焼失し、特に神戸市長田区では、木造住宅が密集していた地域で大きな火災が発生しました。震災関連死も含めて、6,434名もの尊い命が奪われました。地震による死者は、住宅の倒壊による窒息死・圧死によって亡くなった人の割合が非常に高く、全体の8割程度を占めています。また、焼死した方も1割程度います。
戦後に起きた自然災害では、東日本大震災に次ぐ最悪の災害規模でした。

<テーマ1> 日本における地震災害


ここでは地震災害の特徴と地震のメカニズムについて紹介します。海外からの旅行者をはじめ、地震に馴染みがない人に対して、説明する際に必要となる内容です。

地震災害の特徴

現代ではテレビやインターネット等の情報を通じて、発生した地震の被害状況について知ることができます。昔の日本では、8世紀に作成された「日本書紀」や鴨長明によって鎌倉時代に記された「方丈記」などの記録が残っているほか、人類が文字による記録を取る以前でも、遺跡の液状化の痕跡や津波による堆積物の研究などによって、災害の大きさが推定されています。
旅行者に阪神淡路大震災について説明する際は、関東大震災や東日本大震災など、他の地震災害の特徴と比較しながら説明するとよいでしょう。
関東大震災は木造住宅が密集する地域での火災が発生したため、焼死により約10万人もの死者・行方不明者を出しています。また、東日本大震災では、火災や圧死による死者の割合は少なかったですが、津波による水死で1万5千人を超える戦後最悪の死者を出しています。これらと比べ、阪神淡路大震災は早朝に発生し、自宅で就寝中の人が多かったことから、主に圧死で6,000人を超える死者を出しています。地震の規模が大きい場合でも、地震が発生した時間帯や、津波・火災の発生の有無で、被害の特徴が異なります。

地震のメカニズム


地震は豪雨、火山噴火、竜巻と並んで、代表的な自然災害です。4つのプレート(地球の表面を覆う厚さが100kmほどの岩盤のこと)の上に国土がある日本では、他国に比べると地震の発生頻度も多いです。地震の種類には主に2つの種類があります。海溝型地震と内陸型地震地震、それぞれのメカニズムについて紹介します。

海溝型地震
プレートには、大陸を形成する「大陸プレート」と、海底の火山活動によってできる「海洋プレート」があります。この二つのプレートがぶつかると、海洋プレートの方が厚くて重いため、大陸プレートの下に潜っていきます。これによって大陸プレートが徐々に引き込まれていき、ひずみが生じます。そして、ひずみが限界を迎えると、引きずりこまれていた部分が元に戻ろうとします。この際に放出されるエネルギーによって起こる地震が「海溝型地震」です。
海溝型地震は、小さな縦揺れの後に大きな横揺れが起こり、数分間にわたって揺れが続きます。地震の規模が大きいため、大規模な津波を伴うこともあります。過去の事例としては、1923年の関東大震災、2004年のスマトラ沖地震、2011年の東日本大震災などが海溝型地震に該当します。

内陸型地震(断層型地震)
プレート内の断層で発生する地震です。断層とは地下の岩盤が周囲から押されることによって生じる地盤のずれのことです。通常、断層は岩盤同士がかみ合ってずれを埋めているので何も起きません。しかし、プレートの移動によって大きな力が加わると、上下や水平方向に更なるずれが生じることがあります。この時の衝撃を揺れとして地面に伝えたものが「内陸型地震(断層型地震)」です。内陸型地震は、直下型地震とも呼ばれます。
内陸型地震は、大きな縦揺れと揺れる時間が比較的短いことが特徴です。震源が浅い場合には、家屋倒壊や土砂災害を引き起こします。過去の事例としては、阪神淡路大震災(1995年)、熊本地震(2016年)、大阪北部地震(2018年)、北海道胆振東部地震(2019年)などが該当します。

<テーマ2> 震災が神戸の街に残した傷跡


このテーマでは、道路やライフラインなどが破壊されて、人々の暮らしにどのような影響を与えたかを紹介するとともに、神戸の街が復興していく過程で活躍したボランティアの存在についても触れます。

災害規模と復旧・復興

地震によって、高速道路などの幹線交通の断絶し、多くの社会インフラが破壊され、阪神地域では長期に渡り、経済活動が停滞しました。特に神戸市東灘区では高速道の橋脚が折れ、635メートルに渡って横倒しになりました。この衝撃の光景は、阪神淡路大震災の被害を物語る象徴として世界に発信され、現在でも震災を振り返る際によく目にします。
地震後に避難した人は30万人を超え、避難施設の数も約1,000か所となりました。自治体は学校などの公共施設を避難所に指定しましたが、想定を超える避難者が出たため、指定外の公園や民間の建物に身を寄せる人もいました。ライフラインの復旧については、神戸市全体に電気が通るまでには6日間かかり、電話が通じるには14日間を要しました。水道とガスが復旧したのは、地震発生から約3か月後でした。特に水道は震災直後、神戸市内のほぼ全域で断水しました。漏水箇所の特定から始まることから作業は難航しました。給水車による被災者への水の配給もありましたが、最低限しか配給されませんでした。そのため、一部で川の水で洗濯する人もいて、トイレやお風呂などの生活用水の確保が課題となりました。
高速道路は、神戸市西側から明石市を通る第二神明道路では震災から1か月程度で復旧しましたが、市街地の被害の大きいエリアを通過する阪神高速道路神戸線は、全体が普及するまでに1年以上かかりました。鉄道に関しても影響が大きく、神戸と大阪を結ぶJRをはじめ、阪神、阪急などの私鉄各線も寸断されました。復旧は急ピッチで進んだものの、再開には数か月かかりました。震災から7か月経った8月の六甲ライナーの再開をもって、ようやく鉄道の復旧が完了しました。

ボランティア元年

阪神淡路大震災においては、人々の繋がりも生み出されました。被災地では震災直後の1年間で約140万人、ピーク時には1日2万人のボランティアが活動し、1995年は「ボランティア元年」と呼ばれるようになりました。ボランティアの当初の役割は、食糧や物資配給、安否確認、避難所の運営でしたが、仮設住宅への入居が進むにつれて、引越し作業の手伝いや、支援が必要な高齢者や障害者のケアへと変わりました。また、芸能人やスポーツ選手などの有名人もボランティア活動に参加したほか、食糧や衣類などを取り扱う民間企業からの支援もありました。加えて、諸外国からの支援も多く寄せられたため、海外からの旅行者に対しては、旅行者の出身国からどのような支援があったのかについて事前に調べて紹介するとよいでしょう。

<テーマ3> 震災の教訓を伝える場所

1995年に起きた阪神淡路大震災から20年以上が経過し、地震直後の被災状況は想像できないほど、街は復興を遂げています。神戸市内には震災当時の記録や体験を後世に伝えるための展示施設があるほか、記憶を風化させないために様々な取り組みが行われています。このテーマでは、代表的な展示施設や取り組みについて紹介します。

震災について紹介できるスポット


阪神淡路大震災を軸としたツアーを組む場合には、「人と防災未来センター」は必ず訪れたいスポットです。映像や写真とともに震災を紹介し、当時の被害の大きさや、将来再び起こるであろう大地震に対する防災などについて学べるほか、語り部から当時の体験談について話を聞くことができます。施設の展示が充実しているため、すべての展示を見学するためには2時間程度必要です。事前に下見をしてどの展示を旅行者に紹介するべきか優先度を付け、当日の案内時間や旅行者の関心に合わせて、内容を調整しましょう。
一般的な神戸市内観光の中で、震災について紹介する場合には、「神戸港震災メモリアルパーク」を訪れましょう。人気観光スポットであるメリケンパークの一角にあり、震災によって破壊された波止場の一部が現在でもそのままの状態で保存されていて、震災の恐ろしさを肌で感じることができます。復旧の過程などを記録したパネル展示を利用しながら、10~20分程度と比較的短い時間で旅行者に震災について解説することができます。
このほか、長田区にある「ふたば学舎」では、団体向けに語り部よる体験談や、被災地の街歩き、炊き出しの体験など、震災に関連する様々なプログラムが整備されています。

震災を伝える取り組み


阪神淡路大震災に関わる代表的な取り組みとして、旧居留地や東遊園地などで開催される神戸ルミナリエがあります。震災の記憶を語り継ぎ、都市と市民の「希望」を象徴する行事です。毎年12月に開催されていて、神戸の冬の風物詩と言える存在です。案内する場合には、当日の交通規制や混雑具合などを注意するようにしましょう。
また、東遊園地では毎年震災が発生した時刻に合わせて、「阪神淡路大震災 1.17のつどい」が開催されます。震災で亡くなった方を追悼するとともに、震災で培われた人々が支えあう心や思いやりの大切さを次世代へ語り継いでいくために開かれています。前日に当たる1月16日から、被災者でなくても、追悼の灯籠に火を灯すことができます。また、東遊園地では年間を通じて、犠牲者の追悼と震災後に生きる人々の希望を表す「1.17 希望の灯り」や、震災で亡くなった人の名前を刻んだ銘板が並ぶ「瞑想空間」も合わせて案内することができます。
これらいずれの場所でも、被災した方の感情に配慮した案内をするように心がけましょう。

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