【コラム】中国語・英語 全国通訳案内士/末石靖知(いろいろガイドの輪)

エピソード

皆さん、初めまして。中国語・英語通訳案内士の末石靖知と申します。2009年度に中国語通訳案内士資格を取得し、現在13年目。主に関西を中心に活動をしてきました。現在は紆余曲折あり、山形県でインバウンド促進事業に関わっており、本格的な訪日旅行の回復を待っている状況です。

そもそも私が通訳案内士に興味を持ったきっかけは台湾駐在時代に台湾の高校生を日本に招待するプログラムに携わったことでした。60 名の優秀な台湾高校生が日本を初めて訪れ、アニメやドラマで見ていた場所に驚き、感動していた姿を見て日本の魅力を感じました。台湾で通訳案内士の一次試験を受験できたことも後押しするきっかけとなり資格を取得、翌年帰国をしてから本格的に活動を始めました。その後英語の資格も取得し、欧米豪のゲストの受け入れも始めました。

12年間色んなゲストを迎えて、様々な経験をさせて頂きました。ガイドをしている一番の醍醐味は私が何かを教えるのではなく、私がお客様から色んなことを教わることだと思っています。様々な方をお迎えして、色んな文化や考え方を学ばせてもらいました。が、その中で一番思い出深く、また衝撃的だったのは英語通訳案内士を取得直後先輩英語ガイドさんの手伝いでお迎えしたフィリピンからの団体客です。
大阪&神戸のワンデーツアーだったのですが、当日は大雨。灘の酒蔵や昼食は問題なかったのですが、最大の問題は午後からの大阪城。ご存知の通り、大阪城の駐車場から天守閣まではかなりの距離を歩かなければいけません。渋々歩かれる方、文句を言われる方などが出てきてもおかしくありません。が、フィリピンからのお客様は大阪城に着くなり、「雨のおかげで空気が澄んでるね!」「こんな雨の中を歩けるなんてラッキー」と大雨を意に介さない様子。こんなにも陽気で明るく、旅を楽しもうとされている人たちに会ったことが衝撃でした。その瞬間、英語通訳案内士を取得し、世界の様々な文化背景を持つお客様をお迎えできる喜びを感じました。

その後も中国語と英語のガイドとして関西を中心に活動していたのですが、皆さんもご存じのとおり2020年から世界的に蔓延した新型コロナウィルスによって外国人観光客の渡航が禁止され、私たちの収入が絶たれました。就職をする、アルバイトをして食いつなぐ、なども考えましたが、コロナ収束後ガイドに戻りたいこと、形に残る仕事をしたいこと、を理由に地域おこし協力隊制度に応募し、2021年3月に山形県大石田町へ移住しました。

この文章を読まれている方の一体何名が大石田町という名前を聞いたことがあるでしょうか。私も募集を見て初めてこの町の存在を知りました。
大石田町は山形県の観光地・銀山温泉の最寄り駅がある町。冬になると外国人も含め多くの観光客が訪れます。現在私はインバウンドの促進というミッションのもと「観光客が気持ちよく大石田で過ごしてもらえる」「大石田で消費を促す」という二本の目標を掲げ活動しています。待合所を整備し、外国人や若者が手に取りやすい商品を開発し、町内業者の多言語化を推し進めています。多様な文化背景を持っている海外のお客様は興味も様々。ニーズに全て応えるのは難しいですが、大多数が好まれるような商品などの選別はこれまで世界中からお客様を迎えた経験が生かされています。

また、私自身は現在銀山温泉ツアーの準備を行なっています。というのも、この町のインバウンド整備はまだまだ発展途上。決して観光客が快適に過ごせるレベルに達していません。そこで私自身が起業をして、わざわざ山形県にまで来てくれた観光客をより快適に銀山温泉へお連れしようと考えています。コロナ禍で期せずして移住してきた山形県大石田町でしたが、活動地域が変わっても、外国人観光客が来てくれる場所であれば私たち通訳案内士は活躍できるのだと感じています。10月11日から外国人観光客の入国が可能となり、徐々に私たちの需要が戻りつつあります。コロナ前までの水準に戻るにはもう少し時間が必要ですが、気持ちよくお客様をお迎えできるよう準備していきたいと思います!

次回はパワフルで笑顔がとっても素敵な英語通訳案内士の渡邉晶江さん。私の尊敬するガイドさんのお一人です。様々な経験を伺えるのを楽しみにしています!


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