【コラム】ガイドは驚いた!(ガイドの語る場・喜怒哀楽)

エピソード

このコーナーでは、毎回異なるテーマを設定して、数名のガイドで座談会を行います。経験して嬉しかったことや、大変だったこと、思い出に残った出来事などを語ります。今回は3名の通訳案内士のみなさんにお話を伺いました。

出席者

・馬瀬八栄子(英語 全国通訳案内士、2014年よりガイド業務)
・萩原浩之(英語 全国通訳案内士、2016年よりガイド業務)
・薮玲子(英語 全国通訳案内士、2014年よりガイド業務)

司会:本日は新たにお二人のガイドさんに加わって頂きました。藪さんにも前回に引き続きお話を伺います。今日はガイド中に驚いたこと、「ビックリ」についてお聞きしたいのですが、、、

薮:それでは私の鎌倉バスツアーの時のお話を。新宿から鎌倉へツアーバスが2台出て、私はそのうちの1台のガイドをしていました。竹林で有名な報国寺に到着すると、入口に1人のフランス人女性が私たちを待っていたのです。会社に問い合わせたら、別ルートで廻っているもう1台のバスのお客様と判明し、その後は私のバスに乗ってツアーを続けて頂くことになりました。なぜここにお1人で?と事情を伺うのも、英語を殆ど話せない方だったのでフランス語を話せるお客様を通じてやっとわかる一苦労でした。なんとこのお客様は新宿での出発に遅れてしまい、直接新宿から報国寺まで自力で来られたんですって!

参加者一同:ええーっ、一体どうやって!?

薮:言葉もほとんど通じないので、スマホに保存してある報国寺の竹林の写真を新宿で見せ「ここに行きたい」と通りがかりの人に何とか伝え、鎌倉まで電車で移動。鎌倉駅で再度周囲の人に写真を見せて、どのバスに乗ればよいか、どの停留所で下車するかを教えてもらい、更にはバス停から報国寺まで案内してもらって来たそうなんです。『言葉がわからなければ写真を見せる!』という機転と、それで辿り着いた奇跡にびっくりでした。

司会:そんなことがあるんですね。日本人だって知らない土地で交通機関を乗り継ぐのは大変ですよ。

薮:大変な思いをして電車とバスを乗り継ぎ到着されたのですが、ご本人は会う日本人が皆とても親切だったことに感激されていました。道すがらの親切な人たちが日本の印象をこんなに良くしたのだと、ビックリすると同時にとても嬉しく思いました。

司会:それはお客様にとっても素敵な思い出になりましたね。

馬瀬:いらっしゃいますよ、スーパーレディは。わたしは2週間くらいのロングツアーに入ることが多いのですが、ある時、長年アルバイトをして稼いだお金で、かねてから憧れていた日本旅行を実現したという英国人の女性がいました。日本に長年のメール友だちが3人いるとのことで、私のガイドトークのほとんどを、毎日その3人の方にメールで伝えていたのですよ。

萩原:えっ、3人に毎日?筆マメ、いやメルマメだなぁ(笑)

馬瀬:私はロングツアーでは気合を入れて、日本人でも知らないようなかなり細かいトリビアを話すのですが、そのお客様は面白いと思って下さり日本のお友達に向けてたくさん感激メールを送っていたそうです。そのメル友の1人が東京観光中に福島から会いにいらしたりと、いろいろ驚かされた方でした。

一同:そんなこともあるのですね。

萩原:私がFITの9人組を都内で案内したときのことです。かなり食べ物にはうるさい方がいると聞いていたので、築地でそこそこ評判の良い寿司屋にお連れしたのですが「地元のマイアミの寿司屋の方が美味しかった」と言われてガックリ来ました。

司会:ありそうな話だけど、ガイドとしては落ち込みますね。

萩原:リベンジしようと翌日は深川の小料理屋を手配していたのに、店のご主人の都合が悪くなりキャンセル。両国の江戸東京博物館を見学した後の食事でしたので、思い切って近くの餃子店に案内しました。町中華と言うか、B級グルメと言うか、破れかぶれみたいなものですが、これが何と大正解。皆さん満足してくれましたが「築地のお寿司はダメで、これはgoodなの⁈」とビックリでした(笑)。

司会:災い転じて福となすですね。地元の人しか行かないようなお店は案外穴場なのかも知れません。

馬瀬:お客様とのご縁と言えば、私ツアー中に人生相談を受けたことがあるんです(笑)

一同:人生相談ですか!?ロングツアーならではですね。

馬瀬:2週間のツアーだと、大体4-5日目から皆さん打ち解けて来るのですが、あるツアーで英国から来られた未亡人の方がおられました。その方から、ロンドンで知り合った日本人男性とこの日本ツアー中に会うことになっているのだけど、どうしたものかと相談を受けてしまったのです。つまり今後の2人の人生について、です。

一同:へえー…

馬瀬:余り深く関わる訳には行かないし、とは言っても何も言わない訳には行かず、まあ丸く収まるようなアドバイスを差し上げ、その後については伺っていません。お客様のプライベートなことに、それ以上関わる訳にもいきませんしね。でも一期一会の私だからこそ相談して下さったのかな、と驚きつつも嬉しかったですね。

司会:色んなことがあるものですね。

馬瀬:これは全く別のビックリですが、「カリスマ添乗員」の方と一緒にツアーをやったことがあるんです!

一同:カリスマ添乗員、ですか?

馬瀬:イスラエルのツアーで、驚いたことにこのツアーの中に「添乗員の追っかけ」というお客様が4-5人おられたのです。「追っかけ」さんたちは、このMr.カリスマ添乗員のツアー訪問地がどこであれ参加され、今回は日本ツアーだった訳です。

一同:・・・

馬瀬:このMr.カリスマ添乗員のお客様への細やかな気配りや様々な手配の仕方を拝見して、なるほどカリスマと言われるわけがわかりました。ベジタリアンをレストランへお連れすれば、入店した途端私に「チーズなし」の指示。ユニクロ行きをご希望と知っていれば、行く先々のどこでも『ユニクロはあるか?ユニクロはどこ?』とアンテナ全開でした。とにかく追っかけマダム達に楽しんでもらうために全身全霊を捧げている、という誇りが感じられましたね。「追っかけ」のお客様へはとても神経を遣いましたが、添乗員がスターになれることを知った貴重な経験でした。私にも追っかけファンが出来るといいな(笑)。

司会:それは滅多にできない経験でしたね。

萩原:カリスマと言うほどではありませんが、私もトルコの30人ほどのツアーのガイドをした際の添乗員の方に驚かされたことがあります。この方はそれほど細かく気を遣っているようには見えないし、どちらかと言えばゆったりとした感じでツアーを運営して行くのですが、ポイントポイントはきっちりと抑えている感じで、抜けがありませんでした。

薮:大人数のグループになると参加者の中に必ずリーダー格の人がいるので、そのトルコの添乗員の方も、リーダーを把握されていたのでしょうね。

司会:我々ガイドにとってもとても参考になる話ですね。
本日は興味深いお話を大変ありがとうございました。

編集後記:

お客様をご案内しているとさまざまな驚きがあります。中でもお客様から『人間って凄いな。素敵だな』と思わせて頂ける驚きは嬉しいもので、まさしく心が震えます。自信を持って臨んだご案内が不評で『これダメなの⁈』の驚きにはヘコみますが、これも成長の糧と思い、ビックリと上手に付き合っていきましょう。
(司会・執筆:三浦陽一/GICSS研究会)

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